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ダイビングとパニックについて [ダイビング:伊豆]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071007-00000901-san-soci

痛ましい話だ。
ダイビング中の死亡事故というのは、実は海難事故の中では極めてレアなケースと聞く。
スノーケリングやシンプルな海水浴の方が実際には危険度が高いと断言しても良いと。

しかしながら、今回の事件のようにダイビング中に死亡者が出るのはなぜか?について。若輩ながら一家言あるのでゼヒ読んでください。

●「パニック」が無意味であることをつくづく理解すべきだ●

●実体験:
多くのダイバーが、ダイビング中に「パニック」に近い状態を経験していると思います。
ボクの場合は10本目~20本目くらいの頃、2度ほどパニクりました。

一つ目は、パラオでガイドさんの泳ぎの速さについていけなくて息が切れてしまい、呼吸に不安を覚えたとき。水深20mくらいで息が切れる、というのは結構な恐怖です。
この時、むやみに行動すると息が切れるばかりだし、急に浮上は内臓的に危ないかもと判断し、岩にかじりついてひたすら呼吸を整えました。ふと振り返ると、ワイフは中層でパニックを起こし過呼吸状態になり、浮上してしまっていました・・・。
潜り始めて数分後だったことと、浮上のペースがまあそんなに急でもなかったことで全く事なきを得ましたが、ワイフの場合はある意味GAMEOVERです。皆さんご注意を。

もう一回は、水深5mちょいくらいのところでだんだんレギュが渋くなってきた時。これはおなじみかもしれませんが(?)バルブの開けミスです。少ししか開いてなかった。
この時は回りにベテランのおじさんたちがいて、「(空気こないんだけど)」というサインを出したらすぐにバルブをチェックして開けてくれました。

●「空気が来てれば怖くない」

二つのパニックの理由は、ともに「呼吸ができなくなる」という恐怖でした。これは確実にパニックに通じるでしょう。死ぬ可能性が否定できないからです。

ただし双方ともカンタンに防止できます。
エントリー前にバルブが開いているかチェックして、後は海中で息が切れるほど泳がなければいいのです。超カンタン。

で・・・実はこの経験を経て、自分としては確信したことがありました。語弊を承知で書きます。ダイビング中にまず最優先するのは基本的には一つ。
それは、呼吸を確保すること。
それが出来ていればまずいきなり死ぬことはない。

つまり!

空気さえ来ていれば、パニックする理由は何ひとつないのです
※というか「パニック」するべき理由なんてもともと一つもないんですが、まあ焦る必要がないと同義だと思ってください。

このことを、文字通り「デッドライン」と考えれば、パニックはグッと減ります。

エントリーした際に水飲んだ、とかならば水面でゲホゲホやってから潜ればいいですし、潜ってから多少むせるくらいならレギュ咥えたままむせればよいです。レギュくわえたままゲロ吐いても基本的には大丈夫です。
上手く潜行できたのに、水中でいきなり息ができなくなるというケースはほぼ無いので、だからこそスキューバは安全なんです
考えてもみてください。スノーケルだと、息を吐ききった状態で波が来てスノーケルが沈んだら、そこで完全に窒息状態が始まりますよね。だいぶパニクります。でも、そういうことはレギュレーターくわえていればありえないのです。

国内外でビギナーの人を見ていると、「マスククリアができない」とか、「胸焼け感がある」とか「何かが不快適である」「なんだか怖い」と言った理由でパニックするケースがある。

こういった場合、とにかく考えて欲しいのは、「それで死ぬか?」ということです。上で挙げたものは、すべてデッドラインには程遠い、どうってことない話です。

パニックを起こせば死ぬかもしれません。が、「死にもしないこと」が原因でパニックを起こして死んでしまったら、それは本当に無駄ですよね?

だから、死なない理由でパニックを起こすな!というのが最も伝えたいことです。

マスククリアができないということで死ぬことはありません。何も見えないだけです。最悪、ゆっくり浮上すればよいのです。
やや浮き気味、やや沈み気味、ウェイトベルトがどこかに当たって不愉快、フィンがキツイ、持ってきたものが見つからない、何かが引っかかったなどでパニックしても、本当にしょうがありません。
また、不気味な魚がいたとか、ウツボににらまれたとか、ガイドが一瞬見当たらないとか、それでも死ぬことはありません。その場で落ち着いて考えればまずカンタンに解決策が浮かびます。
もしイタチザメが現れたとして、パニックしたら助かるでしょうか?いいえ、ジタバタしてたら「エサだ!」とばかりにかぶりつかれるのがオチでしょう(笑)。冷静に仁王立ちし、通り過ぎるのを待つか、タンクを外して食らわせる準備をするかどっちかでしょうよ。


●ここでガイドの皆さんへご提言

ビギナーには「デッドライン」がよく分からないんです。だからパニックする
ガイドの皆さんにお願いしたいのは、「マスククリア」と、「窒息」「急浮上」を同レベルと感じさせないで欲しいということです。

出典を見失ってしまったのですが、ビギナー×パニックというのはスキューバ中の死亡事故では最も比率が高いはずです。
ビギナーの内は、とにかく覚えることが多くて、

  • 超大事なこと→呼吸を止めないこと、バルブの開け閉め、急浮上しないなど
  • 大事なこと→行方不明にならないこと、孤立して少し経ったら浮上してBCDに空気入れろ、などなど
  • その他

の違いがよく分からないんです。で、上記よりも一番大切なのは「パニックして暴れないこと」だと区別がついていない。

だから、耳抜きができないとか、あろうことかマスククリアができないことが原因でパニックする人が出てくる。プライオリティが分からないから。



パニック
というのは、何かが「原因」で正常な判断ができなくなり、暴れてしまったり急浮上してしまったりすることで、パニック自体が直接的な事故の原因となります。おおもとの「原因」は非常に些細なことであっても、当人がパニックを起こしてしまうから亡くなる可能性がある。とくに、大のオトナの男が暴れてしまうと、ガイドも助けられない。

だから、まずエントリー前に とにかくパニックを起こさないこと を自分自身に言い聞かせる。冷静さが最大の命綱。

それさえ肝に銘じれば、スキューバの事故の確率はずっと減るはずです。

まだ100本の若輩者が何を言うかと思われるかもしれませんが、まだビギナーの気持ちを覚えている者として、一面の真理をついているはずです。


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