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BLACK LAGOON ~影のあるオトナのアニメ~ [映画・ドラマ・アニメ]

世間様の流行とは全く関係がないのですが、BLACK LAGOONというアニメシリーズを見終えました。

類を見ない設定とアクション、そして深い哲学的テーマに裏打ちされた、素晴らしいオトナのアニメでした。
皆さん是非観ましょう。

BLACK LAGOON(ブラックラグーン)
http://www.blacklagoon.jp/

広江礼威という人のサンデーGXでの漫画連載をアニメ化したもの。

日本の商社マン・緑郎がある陰謀に巻き込まれ、タイのロアナプラという港町を根城とする海賊「ラグーン商会」に転職してしまうという滑り出し。荒唐無稽なようでいて案外リアルな設定、これがオトナの心をも釘付けにする。

ラグーン商会はロアナプラに割拠するマフィアたちの依頼を綱渡りでこなしていく「運び屋」なのだが、用心棒的な役回りの女ガンマン「レヴィ」を擁している。
緑郎・通称ロックが狂言回しだとすれば、レヴィは主役である。スーパーガンマン・レヴィと熱血漢ロックの価値観のぶつかり合いが、この作品のテーマだと言ってもいい。

ロアナプラには、世界中から最低最悪の悪党が吹き溜まりのように集っている。街は南方アジア特有の廃れた感じを宿しつつ、スパイス的にアメリカの匂いがしている。アジア人と白人と黒人が、人種差別ですら生ぬるいほどシビアな悪党の力関係で構成されていて、そのアナーキーさには一種のカタルシスがある。その街で繰り広げられる壮絶で甘えの無いガンアクションがBLACKLAGOONの疑う余地もない最大の魅力だ。

ストーリーを彩るのは次々に現れる超サイコな殺し屋や苛烈なマフィア達。ロシアンマフィアの頭目・バラライカ、中国系のチャンなどのレギュラー陣、そしてロベルタ、ヘンゼルとグレーテルと言ったスーパーゲストが次々と弾丸をぶっ放す。
それらのキャラクター達はそれぞれ根深い闇を背負っている。我々日本人からは想像できない惨たらしい紛争や独裁政治の成れの果てに、不幸な人間が次々に生み出されていく。レヴィ、ロベルタ、双子・・・彼女たちは「世界」の影の縮図なのだろう。

シリーズのラストは日本編。バラライカが日本のヤクザを冷酷に踏みにじっていく展開になる。これがまた・・・しみじみと寂しく、切ないドラマを紡いでいく。セーラー服と機関銃・雪緒(声優が桑島法子:ガンダムSEEDのフレイ、ナタル、ステラの人。この声がイイんだな・・・)の覚悟が変化していく様が非常に悲しい。

シリーズの最後ではいくつかの謎を残したままになってしまっている。それはそれでよいだろう。
ただ最後まで心に残る棘、それは世界は性善説では絶対につじつまが合わない、影の部分を持っているということ。

双子編:
「ああいうものをまっすぐ見るな。ここはそういう世界だ」
日本編:
「見るな!傷になる」

物事の流れ、いわば文脈には、絶対に抗えないこと、絶望を孕むことがある。その文脈の前には、個人の意思や自由は欺瞞としてですら存在しがたい。それをロックは最後まで噛みしめることになる。

BLACKLAGOONは痛快なエンタテインメントでありながら、世界の縮図を暴力の観点から切り取ったたいへんなマスターピースになった。
小さな世界に辟易することがあったら、ぜひブラクラで世界の壮絶さを想像してみよう。自分がいる場所が如何に安全で快適かを実感するはずだ。

「誰かがほんの少し優しければ、あの子たちは学校に通い、友達を作って、幸せに暮らしただろう。
でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ、ロック。だから、この話はここでお終いなんだ」

※ネットを検索したら(マンガのほうについて)ビックリするほど鋭い書評があったので読むといいです。

http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/blacklagoon.html


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