今敏監督への哀悼と感謝 [映画・ドラマ・アニメ]
今監督は素晴らしい作品で楽しませてくれることはもちろん、モノを創る人として本当に尊敬すべき、見習うべき人物でした。
彼の特徴の一つに、雄弁さがある。彼は議論好きで、ネットの掲示板などでもファンや批評家と激しくやりあって、むしろそれで愛されていた。
そういう意味で、彼は「理解不能な天才」ではなく、言語化可能な、理知的な面を持っていた。無駄に謎をかけるような狡猾さはなく、素直に思っていることをちゃんとした言葉にする、そういう素直な知性と、品があった。
言語化できないところが作品に投影された。だから彼はイメージを抱えこむハメになる。だって雄弁なのに言語化できないものだから、創るまで他人と共有できない。
そこには彼の、「共有できないのに他人に強いることはできない」という思いやりと、創ることの責任に関する知的なバランス感覚があった。
彼はただその方法論で、彼のイマジネーションの集大成は作れていないと思う。まだ、彼は、彼のポテンシャルの最高傑作を作る手前だったのだ。
彼に時間があったならば、おそらく次の次くらい・・・がそのタイミングだったはず。だから無念だ。若すぎる、ということが彼ほど切実に、世界の損失につながることは多くはあるまい。
彼の死はジミヘンの死に等しい。最後の日記で、マッドハウスの丸山氏と話して泣いた話があって、あれこそが彼の生を悼むもっとも正しいシーンだった。才能をおいていけ!と。彼への最大の敬意であり、「あとはなんとでもする」というのは彼への最大の友情だ。
ありがとう、今監督。すばらしい作品と、すばらしい生き方に。最大の敬意をもって哀悼を表します。
完璧なCM [映画・ドラマ・アニメ]
本当によくできたシナリオはこういうのを言うね。
MASTERCARDの「一緒に走ってきた・・・」
http://www.youtube.com/watch?v=0mfi01zA5so
AFLAC「氷上のプロポーズ」
http://www.youtube.com/watch?v=wSJv7mTpwag
この二編は繰り返し見てため息が出る。
「一緒に走ってきた」は、映像とコピーの絶妙なズレが鮮烈。起承転結の転を鮮やかに活かしたシナリオ。しかもそこでそれまでのシーンが重厚な叙情感となって押し寄せる。
「氷上の」はもう出だしから完璧。単調にならないように言い回しや時節などをうまく調整、最後の井上のセリフがドシンと響く。
ガン保険の意味をこれ以上表現できるCMはないと思う。
創り手の人生―グーグーだって猫である、パコと魔法の絵本 [映画・ドラマ・アニメ]
「グーグーだって猫である」
先日、「ネコナデ」という映画を観たがイマイチだったので、「もう猫映画はやめようよ~」と乗り気がしなかった映画。ところが・・・
漫画家・大島弓子の自伝エッセイ漫画を、キョンキョン、上野樹里、加瀬亮などのキャストで映画化したもの。ミニシアター系とはいえ、キャストが豪華だなあと思っていたら、内容も堂々たるものだった。
のんきな映画だろうという予想を裏切り、冒頭からとても印象深い・・・というかショッキングなシーンから始まる。ここから、静かではあるが味わい深い物語が吉祥寺の町を舞台に丁寧に描かれる。
ある意味、グーグーは脇役。飼い猫というキーを随所に配置しつつ、大島弓子という孤独な天才のしみじみと切ない人生に焦点をあてる。主人公が偉大な漫画家という特異なキャラクターだからか、浅薄な恋愛や動物愛にとどまらない深みのある人生観が伝わってきて、2時間があっという間だった。多くの人が二回は泣くんじゃないかな。
猫好き以外にもオススメ。カメラワークなども凝っていると思う。ウメズ先生やマーティー・フリードマンなど、吉祥寺的なキャスティングも楽しい。
完成度が高い映画。
「パコと魔法の絵本」
「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督の意欲的新作。
ちなみに「嫌われ松子」は2004年(だったっけ)の映画ベスト1だと断じてたほどだったので、中島監督には全幅の信頼を置いています。
僕はもともとドラマツルギーというか、物語とその技巧にすごく興味があって(実はそれは自分の仕事ともとても関係しているのだけど)、ことエンターテインメント作品においては、この中島監督とチャウシンチー、あとは踊る大捜査線&SPチーム・・・あたりは技術的に抜きん出ているわけです。脚本とシーンが全てエンターテインメントに無駄なく結びついていて、時に芸術性とも呼ばれる「たるみ」が無い。90分の映画なら90分が秒きざみで全てお話につながっているというか。それゆえに「ついていけない(怒)」人もいるわけですが。
「芸術映画」ってのはそもそも個人的な表現を目的にしているので好きにすればいいのですが、とにかく商業的エンタテイメントとしては彼らの技術は本当にすごいなといつも感心しているのです。中島監督はとくにCMディレクターあがりという異色の人なので、その点が際立っていますね。
ところが、その技術的には本当に達者なストーリーテラーが、ある意味その技術の土台からあえて飛び立つかのように、個人的なテーマと表現的実験にマジで向き合ったのがこの映画だと感じました。
プログラムを観るまでもなく、主人公・大貫は老境に差しかかった天才監督そのもの。監督は主人公に思い入れがありすぎるため、若干お客を置いていってしまっている感があります。そのため、大貫の心情の変化がかなり極端に見え、気になる人にはかなり気になるのではと思います。もうひとつのポイントは、嫌われ松子の時よりも激しく、非常にハイテンポに繰り広げるスラップスティックギャグ。まだ物語に入り込めていないお客さんには、まるでますだおかだのおかだのようにスベってしまいます。ただしこれも、ともすれば単純に悲しいお話になりうる粗筋を、ビビッドかつ複雑な味付けにかく乱するための計算でもあるでしょう。このスベり具合が、最後の最後まで効いています。
映像的にも凄い、です。ヒロイズムっていうのは本当に歯が浮くようなものになりうるところを、強烈なメタファで照れを隠しながらほぼストレートに伝えてきます。個人的であるからこそ、「伝える」という熱意がみなぎっている。
結果として、「松子」よりは完成度は下がっていると思います。しかしそれでも、同じように心を打つ素晴らしい作品になっていると思います。
そして、楽しませてもらった以上に、一人の創り手として心から感じ入るものがありました。ドラマツルギーの技術と、伝えたいというハート、そして表現ディテールへの吐きそうなほどのこだわり。
たとえクソジジイと呼ばれても、こういう(中島監督のような)生き方は素敵だ。見習いたいなあと思う。
今回の二本は共通して「老境に差しかかった偉大な創り手」に目が行った。仕事というものを、ただこなせば良いとしない人々。自分の名前を屋号にして、表現をしていく人々。その世界を生きてきた人々の孤高と充実。
それを前にして、どう生きていけばよいかを考え直す・・・そのきっかけになった。
earth アース [映画・ドラマ・アニメ]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080124-00000034-yom-sci
日曜日の夜9時半。六本木で観て来ました。
DEEPBLUEのスタッフ⇒つまり、BBCとDiscovery系のネイチャー系究極チームということですが、このチームが送る渾身の一撃。 DEEPBLUEと違って、全編ハイビジョン撮影です。
とんかつ食って酔っ払って映画館に入ったため、ちょっとでもつまらなかったら間隙を縫って眠ってやろうと思っていたのですが。
終始。
語るすべのない衝撃と、言葉にできない感動の連続でした。
地軸の傾きで季節を手に入れた「幸運な星」地球。
舞台は北極から―巣穴から出てきてもんどりうちながら雪の斜面を下っていくホッキョクグマから始まる。 そして、そこから地球を縦断する極大的なスケールの映像が展開されていく。
ここからはもう語ることができません。
そしてそのラストシーン。 説明しませんが。
これはドキュメンタリー映画史に残るのではなかろうか?
このシーンに匹敵するのは・・・デビルマンのラストシーン?ザ・ワールドイズマイン?って全部漫画だな。
エヴァ?ってアニメだな。
ウーン、とにかく、大雑把に言うとecoとは関連しているのだけど、軽薄なECOブームなんか吹き飛ばすくらいの・・・・もっと本当に神話的な、黙示録的な。そういう趣を醸し出していました。
この映像の威力は、「手っ取り早く人間のエゴを断罪する」というレベルではない。
生命の共通目的とエゴの矛盾とは?
地球という神の手の上で、俺たち人間はどうすんのか?
自然を愛する人、動物を愛する人は観るのは義務でしょう。
自然が嫌いな人、動物も嫌いな人は、まあとにかく観なさい。命令です。
ECOがバカらしいと思ってる人、自分が死んだ後はどうだっていい人、自分以外はどうだっていい人。
象と一緒にアフリカを横断してください。いろいろ気づきがあるでしょう。
せいぜい鳥より品性が劣らないように気をつけましょう。
そんなわけで、earth、何かをさておいても今週末には観に行くが吉でしょう。
●予告編:
http://www.loveearth.com/film/trailers/japanese
BLACK LAGOON ~影のあるオトナのアニメ~ [映画・ドラマ・アニメ]
世間様の流行とは全く関係がないのですが、BLACK LAGOONというアニメシリーズを見終えました。
類を見ない設定とアクション、そして深い哲学的テーマに裏打ちされた、素晴らしいオトナのアニメでした。
皆さん是非観ましょう。
BLACK LAGOON(ブラックラグーン)
http://www.blacklagoon.jp/
広江礼威という人のサンデーGXでの漫画連載をアニメ化したもの。
日本の商社マン・緑郎がある陰謀に巻き込まれ、タイのロアナプラという港町を根城とする海賊「ラグーン商会」に転職してしまうという滑り出し。荒唐無稽なようでいて案外リアルな設定、これがオトナの心をも釘付けにする。
ラグーン商会はロアナプラに割拠するマフィアたちの依頼を綱渡りでこなしていく「運び屋」なのだが、用心棒的な役回りの女ガンマン「レヴィ」を擁している。
緑郎・通称ロックが狂言回しだとすれば、レヴィは主役である。スーパーガンマン・レヴィと熱血漢ロックの価値観のぶつかり合いが、この作品のテーマだと言ってもいい。
ロアナプラには、世界中から最低最悪の悪党が吹き溜まりのように集っている。街は南方アジア特有の廃れた感じを宿しつつ、スパイス的にアメリカの匂いがしている。アジア人と白人と黒人が、人種差別ですら生ぬるいほどシビアな悪党の力関係で構成されていて、そのアナーキーさには一種のカタルシスがある。その街で繰り広げられる壮絶で甘えの無いガンアクションがBLACKLAGOONの疑う余地もない最大の魅力だ。
ストーリーを彩るのは次々に現れる超サイコな殺し屋や苛烈なマフィア達。ロシアンマフィアの頭目・バラライカ、中国系のチャンなどのレギュラー陣、そしてロベルタ、ヘンゼルとグレーテルと言ったスーパーゲストが次々と弾丸をぶっ放す。
それらのキャラクター達はそれぞれ根深い闇を背負っている。我々日本人からは想像できない惨たらしい紛争や独裁政治の成れの果てに、不幸な人間が次々に生み出されていく。レヴィ、ロベルタ、双子・・・彼女たちは「世界」の影の縮図なのだろう。
シリーズのラストは日本編。バラライカが日本のヤクザを冷酷に踏みにじっていく展開になる。これがまた・・・しみじみと寂しく、切ないドラマを紡いでいく。セーラー服と機関銃・雪緒(声優が桑島法子:ガンダムSEEDのフレイ、ナタル、ステラの人。この声がイイんだな・・・)の覚悟が変化していく様が非常に悲しい。
シリーズの最後ではいくつかの謎を残したままになってしまっている。それはそれでよいだろう。
ただ最後まで心に残る棘、それは世界は性善説では絶対につじつまが合わない、影の部分を持っているということ。
双子編:
「ああいうものをまっすぐ見るな。ここはそういう世界だ」
日本編:
「見るな!傷になる」
物事の流れ、いわば文脈には、絶対に抗えないこと、絶望を孕むことがある。その文脈の前には、個人の意思や自由は欺瞞としてですら存在しがたい。それをロックは最後まで噛みしめることになる。
BLACKLAGOONは痛快なエンタテインメントでありながら、世界の縮図を暴力の観点から切り取ったたいへんなマスターピースになった。
小さな世界に辟易することがあったら、ぜひブラクラで世界の壮絶さを想像してみよう。自分がいる場所が如何に安全で快適かを実感するはずだ。
「誰かがほんの少し優しければ、あの子たちは学校に通い、友達を作って、幸せに暮らしただろう。
でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ、ロック。だから、この話はここでお終いなんだ」
※ネットを検索したら(マンガのほうについて)ビックリするほど鋭い書評があったので読むといいです。
http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/blacklagoon.html
「パプリカ」-コレを観ずして何を観る? [映画・ドラマ・アニメ]
ジブリのアニメが「ハウルの動く城」「ゲド戦記」と連続でイマイチだったため、すっかり勢いが衰えたかに見えるジャパニメーション。
しかし、実のところは結構な佳作がチラホラ出現している。そこで幾つか備忘のために書いておく。まずはコレ!
●パプリカ
公開は昨年の冬。新宿で観た。最近DVDも出た。
筒井康隆原作の妄想・幻想ストーリーを、今敏(こん・さとし)監督が映画化した。制作はマッドハウス。
この組み合わせ、詳しい人なら「おお!」と唸る素晴らしいメンツ。というか、何をさておいても「今敏」と言えば、今日本で最高のアニメ監督。この人の作品を見ずして、今の日本に見なきゃならないアニメはない、と言ってもいいほど。
今敏監督の主な作品といえば、映画:「パーフェクトブルー」「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」、シリーズ:「妄想代理人」。
どれもアニメならではの表現が生きていて、幻想的なストーリーをとても高いレベルで表現している。そして、練りこまれたドラマ性はスリリングに、時にあたたかく観客の心を揺さぶる。ことに「千年女優」と「東京ゴッドファーザーズ」は趣味性も弱く、どんな人でも楽しめるはず。もっとずっと広く老若男女に知られててもよい、素晴らしい作品群なのだ。
さてそんな今敏の「パプリカ」、期待どおりの素晴らしいデキです。サイコミステリー調の滑り出しから、あっというまに連れて行かれてしまう幻覚世界。
スリリングに展開するストーリーはさすがのテンポの良さ。
2つの姿を持つ主人公の声は林原めぐみ(綾波レイ)。この役柄がまた非常に魅力的に描けている。今監督の女性観は独特で、千年女優といい、PerfectBlueといい、非常に強い推進力をもっていながらも必ず悲哀を引きずっている・・・この作品でも例にもれず、孤独の影を色濃く持ちながらも凄まじいスピードで妄想世界に突入する思い切りの良さを持っている。
たまにエロチックなシーンもありつつ・・・クライマックスは幻想世界が破裂せんばかりに膨れ上がる。このとりとめの無い世界観は「妄想代理人」のラストととても近い。そして巨大な***の戦いはある意味エヴァ的ですらある。
いやはや凄い。
以下は少しネタバレします。
唯一惜しむらくは古谷徹(ガンダムのアムロの声優)演ずる巨デブ・時田に対して感情移入しづらいこと。「子どもっぽい天才」という設定は分かるのですが、そこにグッと惹きつけられるような仕掛けがあまり奏功していないか。ま、それはそれで主人公のフシギさを演出することにもなるので狙っているならばいいのですが。
ところが、おそらく当時の日本の最高峰のアニメだったのに、宣伝はシャビーで上映館も少ない。これはちょっとよくないんじゃないかねSPE(Sony Pictures Entertainment.)!
もっと高いコミットメントレベルで投資して良いものだよ・・・と憤慨する。これを宣伝しないで何を宣伝するのかと問いたい。
せっかくジャパニメーションのまた別の流派を流行らせることができたかもしれないのに・・・
「レミーのおいしいレストラン」と評論のありかた [映画・ドラマ・アニメ]
いやあ~、「レミーのおいしいレストラン」、凄い出来ばえでした。
一時期たいへんな勢いと技術力を誇ったジャパニメーションですが、近年のDreamworksと PIXARには少なくとも表現技術の点ではだいぶ差をつけられているといわざるを得ません。まあ2Dと3Dの差があるので当然なんですが、それにしても凄い。ハッピーフィート、シュレック3、そしてこのレミーのおいしいレストラン・・・手法論として一つ天井を打った感があります。
はっきり言って、演出側の都合の良いシーンを自在に、そしてリアルに描けるという点で、これら3Dアニメーションは実写の表現領域を大きく超えていると言えるでしょう。イメージの自由な具現化というものが、人類史上初めて結実したと言ったら大げさかしら・・・。
さて、レミーのおいしいレストランですが、なぜネズミが急に一流の料理人になってしまうかはさておき、緻密な構成ととにかくリズムの良い演出で飽きさせない。随所に伝統的なパニックアクション的なシーンを織り交ぜつつ、登場人物は魅力的に交わり、見ごたえのある作品になっています。
まあぶっちゃけ、ネズミがたくさんいるレストランというのは想像だに鳥肌が立ちますが、それが話の軸だったりする。日本的なセンスで言えば、できればハツカネズミやハムスターだったら多少マイルドになるんですがね。まあネズミが現れたら銃をぶっ放す国の作品なので...。
クライマックス、料理評論家との対決などはなかなか表現が豊か。しつこいですが、どうしてネズミが急にそんな料理が作れるかについては無理がたくさんあって「誰でも料理人」というスローガンも真意は謎のままですが、評論家が******を食べてフラッシュバックするシーン、そこから静かに立ち去る⇒後日のレビューまでは、「料理と評論」について丁寧に、しみじみ描けています。このくだりが、この映画をとても独特なものにしている。
※評論家と作り手の関係については、僕にとってはメインテーマの一つで、体験的に確信していることが幾つかありますが、本作品の結びはまさにそのあたりと近しいものでした。
評論家がものを褒めるときに必要な勇気の位置づけを、「新しいものには友達が必要なのだ」というくだり。これは非常に感動的で、評論家というものの命題を示せていたのかと思います。風の谷のナウシカがキネマ旬報で蓮見重彦に絶賛されたことにより市民権を得たように、新しいものが主流に迎えられるためには評論家の勇気ある行動が必要とされる。
米国ではまだまだ「子ども向け」と断じられやすいアニメ映画。PIXARはこの映画で全米にアニメの凄さを見せ付けてやりたかったのでしょう。そういう意味では、「レミーのおいしいレストラン」―主流としても充分すぎる出来ばえでしたよ。
オトナのアニメ?BLACK LAGOON と フルメタル・パニック [映画・ドラマ・アニメ]
7月半ばの三連休。初日はmixiでさんざん書いているとおり、G-1グランプリ The Champions Carnival の司会、というかキャラクターを演じた("Phantom")。
それはもう、なんというか凄まじい大会で感動した。
http://www.abovedaworld.com/g1grandprix/index.html
これはまた別途。
で、土曜日のG-1が終わって、やや脱力の感ある3連休残り二日。
ここのところ(と言ってももう何ヶ月か)、機会があれば観ているアニメがちょぼちょぼ。
●フルメタル・パニック、フルメタル・パニックTSR
かなり面白い、とっつきやすいロボものである。DS版スパロボに登場してたので興味を持った。
制作にGONZOが入っていて、3Dの戦闘シーンはなかなかクールだ。光学迷彩を搭載したヘリとかが出てきてグッとくるものがある。話の筋も国際紛争中心でシリアス=好みなんだけど、惜しむらくはヒロインに全く感情移入できないというところ。こんなにかわいくなくていいのだろうかと心配してしまう。
現在第二シーズン「TSR(The Second Raid)」に入っているけど、ますます緊迫していて面白い。ただ、しつこいけど「萌え」の要素はほぼ無いので、それが目当ての人は期待はずれになると思う。
ちなみにそんなに激しい盛り上がりは無いので、徹夜してしまって日常生活に支障がでることもない。
●BLACK LAGOON
http://www.blacklagoon.jp/
何ヶ月か前に SPA!で絶賛されていたので観てみたら超面白かった。
商社マンがマフィアとの取引をきっかけに現地で海賊になっちゃうという話。
そもそもタイかフィリピンあたりの港町で、海賊まがいの運び屋が主人公。ヒロイン(?)は知り合いに銃を突きつけて「てめえのケツの穴を増やしてやろうか!ええ?」とか凄む、ツンデレどころではない・・・平たく言うと殺人鬼。異色の・・・というか前例の無いコアな設定である。
海、港町、ガンマン、殺し屋、マフィア、賞金稼ぎ・・・とさながら西部劇だが、携帯電話はあるし、ガトリングガンも出てくるれっきとした現代劇。
見どころはそのあまりにも激しい銃撃戦、そして不必要にヒネったギャング用語である。とにかくちゃんと聞かないと何の話か分からないくらい比喩が多くて、ギャングってのはこんなに文学性が必要なのかと途方にくれてしまう。
「ここは地獄のモーテルさ。できる限り逃げてみな。でねぇとヴギーマンに食われるぞ」
みたいな感じ。
これはあくまで英語っぽい言い回し、比喩を無理矢理日本語に直訳することで異国感を出しているのだそうだけど、とてもあざとくてクールだと思う。ぜひとも真似したい。
肝心のアクションの方も大迫力だ。地獄のメイド「ロベルタ」登場は本当になんというか痛快だった。ロベルタに追いかけられるシーンがあまりにも怖くて、何度もプレイバックしてしまった。
これも現在2NDシーズンを観ているけれど、ずっと続いて欲しい作品だ。
●番外編:「宝島」
子どもの頃に見た「宝島」のテーマソングが聴きたくて借りてみた。
はたしてテーマソングは素晴らしかったのだが、なんと作曲は先日亡くなった羽田健太郎その人だった。「マクロス」といい「宝島」といい・・・<本格派のアニソン>を切り開いた人だったのだなあとしみじみ。
ご冥福をお祈りする。
そんな二日間。脱力感のままに過ごしてしまった。他にもサマーセール物色したり浅草に鰻食べに行ったりとなかなか享楽的。
有頂天ホテル、ALWAYS 三丁目の夕日、ハリー・ポッターと炎のゴブレット [映画・ドラマ・アニメ]
正月に入ってから、六本木のTOHOヴァージンシネマで3本映画を観た。映画って観る時は立て続けに観るし、観ない時は観ないな。
■ハリー・ポッターと炎のゴブレット
まずは定番シリーズ、ハリー・ポッター。イギリス英語が気持ちよい、世界で最も有名なお気楽ファンタジーですな。
さて、前回の「アズカバンの囚人」はあまりハラドキしなかったのであるが、個人的にハーマイオニーの熱狂的ファンであることも手伝い、今のところハリーポッターシリーズは全て劇場で観ている。
いよいよシリーズもこなれてきたと見えて、今回は映画開始と同時に展開が速い。まるでドラマみたいである。しかしそれが成功して、実の多い話の内容がスピーディーに展開されていく。今回のThe Goblet of Fireはドラマの要素が多く、2時間程度にまとめることに難儀したはずだが、余計なところは端折りに端折ってうまくまとめたと思う。
また、水中戦ではけっこうショッキングな絵作りをしていたし、迷路の描写もなかなか怖く、「賢者の石」の時のクィディッチ程度にはスペクタクルがあった。総じて、今回のハリポタはシリーズの中でもデキが良いと感心した。
※難を言えば、遂に出てきた「あのお方」があんまり怖くないということ。これは従来の映画の表現手法の域を出ていなかったね。カメラワークもちょっと俯瞰的すぎて迫力が出なかったな。
さらに、我がいとしのハーマイオニーの描写も前回より丁寧で、毎度のことながら良いキレを見せてくれた。彼女がオトナになってしまうのが残念でならない。(俺はおしゃまな少女が怒ったり泣いたりすると父性が全開になってしまうのだ。決して変態ではない)
さて今回は本当に驚いたことが一つ。
ドレスを着て登場するシーンがあるのだが、出てきた瞬間「あれっ、誰かに似てる」と思う。
妻のサクラコが隣で一言。
「『あやや』に似てる・・・」
すわ、俺もそう思った!!!ハーマイオニーって髪の毛をアップにすると、どことなく「あやや」に似てる!?
■ALWAYS 三丁目の夕日
問答無用で泣ける、良い映画だと思う。
「昭和30~40年代は希望に満ちあふれた素晴らしい時代だった」ということに関してはもう日本人で異を唱えるものはいないだろう。
とまれ、無理やり泣かされている感も否めず、そこに作品的な新しさは認められない。
原作では、実在の企業なんかも出てくるらしいが、スズキオートは果たしてスズキになるのだろうかとサクラコが気にしている。
堤真二はなかなか良い俳優になってきていると思う(夏に恵比寿で見かけた。サンダルばきでビールをぶら下げていた)。
小雪も大女優の風格が出てきたね・・・。「指輪」のところでは小雪にやられた・・・ちくしょう。
■有頂天ホテル
たいへんな話題作である。公開2日目に早速観てしまった。
三谷幸喜の映画で、しかもこのキャスト。現代日本を代表するドリームチームである。役所広司、伊東四朗、西田敏行、佐藤浩市、篠原涼子、唐沢寿明・・・などなど演技には冴えがある役者たちばかりで、安心して楽しめた。個人的には、香取慎吾はSMAPの中でも最も演技が下手な男だと思っているのだが、少なくとも「西遊記」よりは遥かに良い演技をしていた。
キャストとしては、麻生久美子が出ていたのも良かった。僕は昔から彼女のファンなのだ。長くやってるのに、微妙にブレイクしない感じがいじましい(笑)。このまま歳をとっていくと暗い色気が漂いそうで楽しみだ。
さらにもう一人。原田美枝子は個人的に「ベスト・おばさま女優」である。モタモタした喋り方に色気があるし、笑顔のやさしさに関しては他のとうがたった一連のオバサマ群とは一線を画している。
ストーリーという点では、三谷の割にはプロット的ギミックの少ない、素直な作品と感じた。とくに大事件らしい大事件もなく、最初から最後までドタバタと明るい雰囲気。大晦日特有のあわただしさはよく表現されていて、映画としての完成度は高いと思う。笑いの要素も多く、映画館ではかなり大声で笑うオバサマ多数。
ただ、テーマ的なものはあまり伝わってこないので、「大作」感は無い。2時間ぴったりの間、皆で一緒にドタバタしておしまい、という感はある。人情ドラマもお色気も強くは無いので、心に残るシーンは多くない。期待しすぎなければ絶対に楽しめる映画だと思うけどね。
ちなみに、ちょうどここひと月ほど、浅田次郎の「プリズンホテル」シリーズを読んでいるので、ちょっとストーリーがかぶった。「プリズンホテル」にかなり強烈なエピソードが多いので、ちょっと物足りなく感じたのかもしれない。「プリズンホテル」は巻数を重ねるごとに面白くなるんだよな・・・。
ジオン軍 [映画・ドラマ・アニメ]
恵比寿の駅近くに停まっていたバイク。
ふと見ると、タンクのところに…
ジオン軍のマーク!
てっきりYAMAHA製かと思っていたが、サイド3で作られたバイクらしい。