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「レミーのおいしいレストラン」と評論のありかた [映画・ドラマ・アニメ]

いやあ~、「レミーのおいしいレストラン」、凄い出来ばえでした。
一時期たいへんな勢いと技術力を誇ったジャパニメーションですが、近年のDreamworksPIXARには少なくとも表現技術の点ではだいぶ差をつけられているといわざるを得ません。まあ2Dと3Dの差があるので当然なんですが、それにしても凄い。ハッピーフィートシュレック3、そしてこのレミーのおいしいレストラン・・・手法論として一つ天井を打った感があります。
はっきり言って、演出側の都合の良いシーンを自在に、そしてリアルに描けるという点で、これら3Dアニメーションは実写の表現領域を大きく超えていると言えるでしょう。イメージの自由な具現化というものが、人類史上初めて結実したと言ったら大げさかしら・・・。

さて、レミーのおいしいレストランですが、なぜネズミが急に一流の料理人になってしまうかはさておき、緻密な構成ととにかくリズムの良い演出で飽きさせない。随所に伝統的なパニックアクション的なシーンを織り交ぜつつ、登場人物は魅力的に交わり、見ごたえのある作品になっています。
まあぶっちゃけ、ネズミがたくさんいるレストランというのは想像だに鳥肌が立ちますが、それが話の軸だったりする。日本的なセンスで言えば、できればハツカネズミやハムスターだったら多少マイルドになるんですがね。まあネズミが現れたら銃をぶっ放す国の作品なので...。

クライマックス、料理評論家との対決などはなかなか表現が豊か。しつこいですが、どうしてネズミが急にそんな料理が作れるかについては無理がたくさんあって「誰でも料理人」というスローガンも真意は謎のままですが、評論家が******を食べてフラッシュバックするシーン、そこから静かに立ち去る⇒後日のレビューまでは、「料理と評論」について丁寧に、しみじみ描けています。このくだりが、この映画をとても独特なものにしている。

評論家と作り手の関係については、僕にとってはメインテーマの一つで、体験的に確信していることが幾つかありますが、本作品の結びはまさにそのあたりと近しいものでした。

評論家がものを褒めるときに必要な勇気の位置づけを、「新しいものには友達が必要なのだ」というくだり。これは非常に感動的で、評論家というものの命題を示せていたのかと思います。風の谷のナウシカがキネマ旬報で蓮見重彦に絶賛されたことにより市民権を得たように、新しいものが主流に迎えられるためには評論家の勇気ある行動が必要とされる。

米国ではまだまだ「子ども向け」と断じられやすいアニメ映画。PIXARはこの映画で全米にアニメの凄さを見せ付けてやりたかったのでしょう。そういう意味では、「レミーのおいしいレストラン」―主流としても充分すぎる出来ばえでしたよ。


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コメント 1

やっこ

はじめまして(ブログの訪問は・笑)
つねっちさんのレストランもとってもおいしかったですよ~(*^^*)
ほんとうにごちそうさま&おじゃましました。
やっぱり観よっと!レミーのレストラン♪
by やっこ (2007-09-03 10:41) 

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