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「パプリカ」-コレを観ずして何を観る? [映画・ドラマ・アニメ]

ジブリのアニメが「ハウルの動く城」「ゲド戦記」と連続でイマイチだったため、すっかり勢いが衰えたかに見えるジャパニメーション。
しかし、実のところは結構な佳作がチラホラ出現している。そこで幾つか備忘のために書いておく。まずはコレ!

パプリカ

公開は昨年の冬。新宿で観た。最近DVDも出た。

筒井康隆原作の妄想・幻想ストーリーを、今敏(こん・さとし)監督が映画化した。制作はマッドハウス
この組み合わせ、詳しい人なら「おお!」と唸る素晴らしいメンツ。というか、何をさておいても「今敏」と言えば、今日本で最高のアニメ監督。この人の作品を見ずして、今の日本に見なきゃならないアニメはない、と言ってもいいほど。

今敏監督の主な作品といえば、映画:「パーフェクトブルー」「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」、シリーズ:「妄想代理人」。
どれもアニメならではの表現が生きていて、幻想的なストーリーをとても高いレベルで表現している。そして、練りこまれたドラマ性はスリリングに、時にあたたかく観客の心を揺さぶる。ことに「千年女優」と「東京ゴッドファーザーズ」は趣味性も弱く、どんな人でも楽しめるはず。もっとずっと広く老若男女に知られててもよい、素晴らしい作品群なのだ。

さてそんな今敏の「パプリカ」、期待どおりの素晴らしいデキです。サイコミステリー調の滑り出しから、あっというまに連れて行かれてしまう幻覚世界。
スリリングに展開するストーリーはさすがのテンポの良さ。

2つの姿を持つ主人公の声は林原めぐみ(綾波レイ)。この役柄がまた非常に魅力的に描けている。今監督の女性観は独特で、千年女優といい、PerfectBlueといい、非常に強い推進力をもっていながらも必ず悲哀を引きずっている・・・この作品でも例にもれず、孤独の影を色濃く持ちながらも凄まじいスピードで妄想世界に突入する思い切りの良さを持っている。

たまにエロチックなシーンもありつつ・・・クライマックスは幻想世界が破裂せんばかりに膨れ上がる。このとりとめの無い世界観は「妄想代理人」のラストととても近い。そして巨大な***の戦いはある意味エヴァ的ですらある。
いやはや凄い。

以下は少しネタバレします。

唯一惜しむらくは古谷徹(ガンダムのアムロの声優)演ずる巨デブ・時田に対して感情移入しづらいこと。「子どもっぽい天才」という設定は分かるのですが、そこにグッと惹きつけられるような仕掛けがあまり奏功していないか。ま、それはそれで主人公のフシギさを演出することにもなるので狙っているならばいいのですが。

ところが、おそらく当時の日本の最高峰のアニメだったのに、宣伝はシャビーで上映館も少ない。これはちょっとよくないんじゃないかねSPE(Sony Pictures Entertainment.)!
もっと高いコミットメントレベルで投資して良いものだよ・・・と憤慨する。これを宣伝しないで何を宣伝するのかと問いたい。

せっかくジャパニメーションのまた別の流派を流行らせることができたかもしれないのに・・・


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