アフォーダンス [ストックヤード]
アホが踊るわけではありません。
認知心理学で言うところ、行動を促す形状やデザインのこと。ノブがついていたらひねる、取っ手がついていたら握る、右向き>は再生する・・・・アフォーダンスというのは、それ自体がどう扱ってもらいたいかを示しているということなのね。
インターフェースを考える上でこれは非常に大切な考え方で、例えばWEBサイトで ▼次へ と書いてある部分をクリックしたらページの下のほうにスクロールすると思うでしょう?これが別ウィンドウで開いたりするとビックリしちゃう。
で、まあそれとは厳密にはちょっと違うのだけど、人間の共通認識というものがあって、
フリガナ[ ]
と書いてあれば、それはカタカナでふりがなを振ることになる。
ところが
以下の漢字に片仮名で振り仮名を振りなさい。
と書いてあると、どうしていいのかわからないわけです。
「日本語検定」
http://blog.so-net.ne.jp/loudminority/2007-08-02
の得点表をなにげなく見直してみたら、なんと全問不正解(!)している問題があった。
どどどどういうことだとビックリして問題をひっくり返してみたら、実は問題文が上記のとおり「読み仮名を片仮名で書きなさい」だったのね。
見事に全部、
「そじょう」
「りょくしょう」
などなど、ひらがなで書いていましたよ。ははは。
「そんなのお前だけだろ!不注意な!」
と思われるかもしれませんが、そんなことはない。
http://blog.livedoor.jp/yokoshushu/archives/62022.html
http://d.hatena.ne.jp/KuruKuruWolf/20070718/p1
見事に引っかかってます。
一概に我々が悪いとは言えないのです(笑)
日本語自体が正確ならいいじゃないか、と考える方もいるかもしれませんが、
カタカナで書かせたければ、
「カタカナで書け」
と書くのがコミュニケーションというものです。
時計のロマン [ストックヤード]
仕事先のオシャレマネージャーが「PANERAI」の時計をしているのです。
知ってますか?PANERAI。スイスの超高級時計です。クラス的には、フランク・ミュラーとかと匹敵するのではないでしょうか。
このPANERAIの時計があまりにも美しいので、その人との打ち合わせの時は話を聞いているフリをしてずっとその人の時計を見ています。
そんなに好きなら買えばいいじゃないか、と思うかもしれませんが、この時計最低でも50万円します。若輩のワタシには全然手がでません。
ふと振り返ると、自分の腕には アメリカ製の軍用時計「LUMINOX」のスペシャルモデル「Nighthawk」が。ちょっと特別なモデルなのでだいたい5万円くらいするでしょうか。
これ、買ったときにはそれなりに楽しかったのですが、PANERAIと見比べるとやはりだいぶ見劣りします。値段が10倍違うのでしょうがないですが。ディテールの質感が・・・モンブランの万年筆とPentelの100円ボールペンほどに違うというか。ぜんぜん比喩になってないな。
飽きてきたのでベルトを交換してみました。ちょっといい感じです。軍用らしくなった。
とにかくPANERAIのせいで、最近は時計に目が行ってしょうがない。PANERAIは高いし、OMEGAならどうだとか、Tagheuerならとか。
正直、そんなに「モノ好き」というわけではないのですが、昨日も一人で渋谷に行く用事があったのでLOFTやら西武デパートやらで100本くらい見比べてきました。PANERAIも、ミュラーも、ROLEXも、OMEGAも、IWCも、BREITLINGも、Sinnも、BALLも、Bell&なんとかも、FORTISも、HAMILTONも。ダイバーズウォッチが好きなので、どうしてもブランドは限られますが。
結論として、やっぱりPANERAIの LUMINOR MARINAはとても美しい。ただ、他のメーカーもそれぞれによいところがあって、中でもHAMILTONは好みでした。
いやはや時計って、車と並んで男のロマンだなあと。つくづく。
でも時計は買わずに、香水だけ買ってきました。安かったので。Paul Smith と Blue planet という謎のブランド。BluePlanetは前から使っていて、切れてしまったので。
…(-_-;)というか、ここまで書いてつくづくイヤになった....
なんで俺こんなこと書いてるのだろう・・・
日常的に書きたいことが山のようにあるのに(例えば犯罪被害とか環境の話とか音楽とか評論についてとか)、少なくともPANERAIよりは恵比寿のグルメの話の方が余程ボクのブログとしては意味があるだろうに。ちょっと別のこと書こう。
「こむぎのミミたれ日記」について [ストックヤード]
うちの猫「こむぎ」のブログ「こむぎのミミたれ日記」がなかなか好評でして。
というか、親バカ恐縮ですが、実にかわいいのです。こむぎ。毎日かわいい。
6月2日の「めざましどようび」および、某DVD企画に出演決定したそうで。個性派なので人気がでちゃうかも・・・
ぜひ見てやってください。
2007年初頭についての覚書 続き [ストックヤード]
全くもって一昨日の続き。自分日記。
「どろろ」を観た。が、イマイチ。演技にキレが無い。とくに中井貴一。それぞれのキャラクターが掘り下げ足りない。脚本に無駄も多い。時代劇っぽい絵作りを意識しているので、せっかくのニュージーランドロケもあまり映像に生かしてはいない。これはまあしょうがないのかもしれないけど。
3月1日に「ガンダム無双」が発売されるとのこと。そこで、早めにPS3購入(これがどうやら僕自身への誕プレらしい)。
とりあえず何もすることがないのでガンダム「TARGET IN SIGHT」を購入。
ためしにやってみるも、HDMIケーブルを買い忘れたため映像スペックがどの程度なのかよく分からない。「ガンダム無双」はDSのスパロボの次に楽しみである。
さて、年始からイマイチ冴えなかった自分自身の脳みそであるが、風邪の完治と共にようやく抜けてきた気がする。
三連休の最終日、会社に行って例のプロジェクトのために一人で考え込んでみる。
プロジェクトマネジメントのハウツー本をざっと読んだらなんとなくやることがわかった気がする。やはり自分で全体進行を推進しないと何も始まらない。
現在最大の問題は、Dカズと僕の間での、プロジェクト全体に関する達成目標というか、成功像が全然かみ合っていないことだ。
Dカズは多機能→API化→それを扱うことでわが社のガバナンス向上・・・というような筋書きなのだけども、今までの話でそれはずれてきていて、eCの情報力強化→DBの価値向上→それを中心とするガバナンス体制の樹立・・・というふうに変わっている。
そのため、eCをサイトとしてどう扱うかの重みが違うのである。
まずはここの差を埋めなくてはならない。これを行った後で、今度はシステム担当KAZZMAとの成功ビジョンを共有することにする。これで多分チームコンセンサスがとれるはず。
目的・目標を大きい方からリストにし、それが目に見える形で(評価できる形で)どうなるべきか→それを達成するためにはどうするか・・・という風に、徐々にツリー状にブレイクダウンする表を作ってみた。きれいにはできないが、これで大体プロジェクト全体が共有できるはず。
OBライブをそろそろ進めないとならないのだが、係りの決定を待っていると時間が危ないので先にハコのみおさえてしまおうと考えている。係りをどうやって決め込むかが最大難関。発起人たちに、誰が良さそうかまず指名してもらおうか。
とにかくそういうわけで、渋谷PLUGに行ってみる。
狭いけどホールでの居心地を重視した良いハコ。ここで開催したときのイメージがつかめた。やっぱりハコが前提にあるとイメージが湧く。
リアルに動員を考えると、出演者で30人、その他で50人がせいぜいだと思うので、MARZや旧Guiltyのようなキャパは不要だと気づく。今までホールはやっぱり閑散としてたものね。
ここ(PLUG)だとレンタルで20万、諸経費込みで25~27万で開催できる。出演費がグッと安くなるのでSOURみたいな半プロバンドも出られると思う。
渋谷CLUB CRAWLだとさらに安くなる、全経費22万くらいかな。バンド出演費3万円とかも夢ではない。
そんなわけで、風邪が治ってようやく本調子。2007年はホントにスタートが出遅れたけどイイ感じだ。
2007年初頭についての覚書 [ストックヤード]
サクラコがPCを占領していて全然ブログがかけないので、たまに備忘録代わりにダイジェスト。
自分向けの日記です。
07年明けからどうも調子が出ない。仕事・プライベートともやる気がイマイチ・・・これはたぶん体調→体のどこかに風邪の菌が巣食っていて、基礎体力が弱るのを待っている―ことによる。
(すみれ・山田以外の)同僚たちとはどうもケミストリーがあわない。
年明けの話題といえばバラバラ殺人くらいで、後はつまらない騒動ばかり。
パッとアドレナリンが出るような出来事がなかなか無いね(笑)・・・。
さて、今年は妙に電化製品を買う年だ。
・年明け早々、代々木上原の実家用に多慶屋で大型テレビを買うが、いくらなんでもでかすぎると文句を言われる。
・ニンテンドーDS LITEを苦労して購入(渋谷のさくらや)。スーパーマリオ、常識力など。面白いけどあまり熱中できない。スパロボが出るまでのガマンか・・・
・ケータイを買い換えた。SonyEricssonの W44S。デカイと文句いわれがちだが、ガジェットとしてはとても完成度が高い。
■来客/お呼ばれが多い。
・1/6 RINTARO、SHINGOたち。しこたま酔っ払って引き止めまくる。
・1/14 いとこのHIRO家へ。暴食する。
・1/20 天才建築家夫婦がウチに。とても楽し。この日、こむぎにサカリが来る。
・2/21 OBライブ発足の打ち合わせ。妙に充実。
・2/26 同僚KAZZMAの独立お別れ会?その後、尋常でなく酔っ払う。
2/27 超・二日酔い?のままスイス時代のMIKA/AKKOとランチ。本当に高級な連中なのだけど、この日は恐ろしいサイコな知人・隣人の話で戦慄する。
・2/3 日本橋・N沢さんの家にお呼ばれ。とても楽し。
翌日2/4から風邪発症。まだ引きずってる。
■音楽
あまり新しいものに出会っていない。これは問題。
弾き語りは地道に反復練習している。Avril Lavigneの「I'm with you」をやってみたらとてもよかった!!これは十八番になるだろう。
も一つ、OBライブを実行しなくてはならない。若干体制に迷いがアリだが、まあやってみよう。ダメなら自分で全部やってしまえばいいし。
■読書、映画、その他。
―昨年末に桐野夏生の「グロテスク」を読んだ。あまりに凄まじいリアリティだったので、暗い話が好きなすみれちゃんに貸してみたところたいへん気に入ってくれた。
これは前段があって、昨年、すみれ&山田に「なかよし小鳩組」「光源」を貸したら、両方気に入ったようだったのだが、なんとなく「光源」の方がレスポンスがあった感触。その後、すみれにたまたま「アンテナ」を貸したら非常に気に入った。それならということでグロテスクを貸したのだが、山田が完全にフォローアップしていてそれなりに楽しんでいるようなのでもうずっとこの二人に色々供給することにした。
が、通勤時間で負けているため本気を出されると読書スピードで勝てない(笑)。いずれこちらのストックは尽きる。
―ウン年越しで観損ねていたロード・オブ・ザ・リングを観終わる。映像のスケール感凄いね。この映像感だけで十分凄いと思う。話はこれ以上どうしようも無いので、総じて賞賛したいと思う。
―映画「大奥」を観た。もっと壮大なネチネチ感を期待していたのでイマイチ。これは2時間スペシャルでいいのでは。
―YOUに「ソラニン」という漫画を借りた。久々の漫画。とてもよかった。モラトリアム漫画。モラトリアムが無かった人にはあんまり響かないようだが、作品としては高次元だと思う。
―明日「どろろ」を観に行く。
■仕事
今年は専属アシスタントのYOUがいるので例年より作業量が少ない。が、例の巨大プロジェクトの予算承認まで具体的な進行に入れず、ややボケっとしてしまった。
ただ・・・作業的には減ったものの、YOUとのコミュニケーションが頻繁に生じるので、集中してDEEPな決め事をするのがややストレスになる。YOUがすみれのように進行までできるようになってくると、そしてちょっとオッチョコチョイが無くなれば、もう少し集中できる気がする。彼はとても知能が高いのでじきにそうなるとは思う。
さてメゲることと言えばその大きなプロジェクトのチーム編成について、クライアント側のN氏、ハタケヤマ、僕の間で認識にズレがあったということだ。これには結構、自尊心が傷ついた。Dカズのみがそれを理解していた(?)のでコミットしてくれようとしている。これはありがたいことだ。彼は自分のことはまるっきり分からないのに他人のことは分かる。不思議だ。
このようになんとなく全体的に低調な時は、仕事で頑張るのが吉だと思う。
それだ。
来週からは風邪を治して仕事で集中しよう。
俺が生み出せるものはまだまだ無尽蔵にあるはず。
「異臭騒ぎ」とでんこちゃんからのメッセージ [ストックヤード]
先週一週間の話。
この一ヶ月というもの、我が職場は謎の異臭に苛まれていた。
だいたい昼頃から激しく匂い始め、夜人が減り始めるとおさまっていく。
どんな異臭かというと、「イカくさい」「オートバックスの匂い」と言えば分かるだろうか。
原因がつきとめられず、何度か大掃除が繰り返されたが、匂いはおさまらなかった。
先週は、月曜日の大停電で幕をあけた。
朝起きて家の電気がつかなくて軽いパニックがあったと。我が家はオール電化だったりするので途方に暮れてしまい、いかに自分達が電気に頼った生活をしているかを痛感したのだった。
サクラコは、あの30分間の大規模停電で、どのくらいの電力が節約できたのかを考えると、停電も悪くないと言っていた。
さて、金曜日の朝。
朝出社してくると、パソコンが起動できない。ラジカセもつかない。オフィスの一部が通電していないようだ。
なんでだなんでだと探していると、なんと、床をはっている電線の養生が真っ黒に焦げている!!
ショート?養生の部分を引き剥がしてみると、電線の接続部分のプラスティックの部品が溶けて変形している。
結局、設備の業者さんが来て1時間後には復旧したのだが、その間は誰も仕事にならなかった。
月曜日には、電気に生活が依存していることを痛感し、金曜日には仕事が電気に依存していることを痛感させられた。
一週間でこんなに電気のありがたみと危険性を感じるってのは、でんこちゃんからのメッセージとしか言いようが無いね。
ちなみに、ここまででお気づきと思うが、異臭は99%ショートが原因だろう。
個人的にはあの臭いには覚えがあった。昔、我が家でアンプが煙を吹いたとき。あの時確かに似たような匂いがした。
今回の異臭騒ぎでもまっさきに電源周りを疑ったのだけど、発見できなかった。
ちなみに、多くの人はその「イカくささ」と「電気のショート」というのが結びつかないらしく、
「本当にコレが原因だったのか?」
といぶかしむ向きもあるが、経験者は確信しているわけ。
でも、プラスティックが溶けている臭いだったとすると、それはまさに毒ガス。
うーん労災だ。
オトナ買い。 [ストックヤード]
オトナ買いしてしまったダイビングギアが届きました・・・。
全貌。
レギュレーターはCRESSI SUBのELLIPSE TITANIUM。レギュだけはいいヤツ欲しいなあと思っていたので、店員さんと長々相談して決めました。ファーストステージも美しい。
オクトパスはTUSA。
BCDはTUSAの3860「PLATINA EVOLUTION」。ポイントは、腰に排気バルブがついていることと、ウェイトシステムがついていること、そしてドライスーツを着てもフィットするような作りであること。そこらへんを気にしました。
TUSAとしてはかなりの高級品。とはいえ、MARESのVECTOR1000よりもだいぶ安く買えました。迷ったのですが、コストパフォーマンスでこちらを。TUSAは国内メーカーなので、海外では高いけど日本では安い。サクラコのBCDもTUSAなのでちょうどいい。
ゲージはSCUBA PRO。2コンソールにしました。
キャスターつきのキャリーバッグ(SCUBA PRO)もつけて、しめて約13万円。
とはいえ、当初考えていたよりも安く済みました。
さて、ギアを買ってしまうと、「もったいないので潜らなくては!」という気持ちに拍車がかかる。
さて・・・忙しくてもなんとか時間を作るぞ・・・狙いは9月末?
嘘のような本当の話。 [ストックヤード]
そんなアホな!と思うかもしれないが実話。
今朝がた、夢うつつに猫の鳴き声がする。
「ミュウ~、ミュウ~、ミュウ~、ミュウ~」
と鳴き続けているようだ。
朝が来たので、こむぎが興奮しているのだろう。
だが、俺はまだ寝ていたい時間なのでしばらく無視しようと決め込む。
しかし、猫の声が鳴き止まない。
フツウ、猫というのは相手が無反応だと鳴き止むものなのだけれど・・・。
これは何か、こむぎに相当な不都合でもあるのだろうか?
しょうがないのでベッドから起き上がったら、泣き声が止んだ。
こむぎが、俺が向かっていくのを察知したのだろう。
ケージから出すと、ゴロゴロと上機嫌なこむぎがまとわりついてくる。
そのまま寝室に連れて帰り、俺はもう一眠りをしようと横になる。
すると、こむぎは近くでゴロゴロと遊んでいるのに、猫の鳴き声が聴こえる。
「ミュウ~、ミュウ~、ミュウ~、ミュウ~」
耳を澄まそうと息を止めてみた。すると、鳴き声は止んだ。
猫の鳴き声だと思っていたのは、俺の鼻息だった。
実録・「超、注文の多い客」 [ストックヤード]
カラン。扉が開く。
まあまあ高級な中華料理店「粗仁音楽通信中華店」。
コースは一人前7000円~と書いてある。
どっかりと座る客 5人。
客 「おい、スペシャル北京ダックを中心にコースを作れ。悪いが7分で作ってくれ。ちなみになんでお前のところに来たかっていうと、金料理長と、こちらの陳さんが懇意にしているからだ」
陳さん「・・・」
ウェイター 「は、ありがとうございます。で・・・7分ですか?コースも含めて7分は無理だと思いますが」
客 「じゃあコースは15分でいい。北京ダックだけ、なんとか7分で作れ。」
ウェイター 「(こうしてはいられない)それでは早速・・・」
客 「ちなみに値段は?」
ウェイター 「そうですね、スペシャル北京ダックですか、中に何を入れるかで変わってきます。」
客 「値段が決まらないと食うかどうかわからんぞ」
ウェイター 「それでは早急に、何を入れるかをご提案します」
厨房。料理長に早口で相談。
そして20秒後。
ウェイター 「スペシャル北京ダックですが、北京ダック、ネギ、きゅうり、ゴマ、うちの特製味噌、皮、あとは蒸しパンでどうでしょうか?スペシャルということでしたら、きゅうり・ゴマをきゅうり、オオバ、松の実にすることも可能です。こちらでしたら二人前からご注文いただければ、まあそうですね、一人前4500円で承ります」
客 「なかなかいい提案だな。きゅうり、ごま、オオバについてはちょっと考える。しばし待て」
(ゴニョゴニョと相談)
客 「よし、OKだ。きゅうり・オオバ・ゴマにしてくれ。ちなみにもう二分過ぎているのであと5分で作れ。スペシャルなヤツだぞ」
ウェイター 「(5分かあ~)分かりました。がんばって作ります」
(急いで戻ろうとする)
客 「あ~、おい、ちょっと待て。さっきの4500円だけど、高いな。具体的に何がいくらで4500円か詳細もってこい。値切れるかもしれんからな。あ、あと、さっきの提案の中で、皮と蒸しパンはこちらで支給する。それを使ってくれ。隣の陳さんが持ってるから」
陳さん 「・・・」
(厨房。料理人たちに報告するウェイター 。)
ウェイター 「金料理長、すまん、あと4分半しかないけど北京ダック作ってくれ・・・」
料理長 「遅いよ。何を話してたのさ。4分半じゃあ無理だよ。支給された皮と味があうかも分からないじゃないか。ウチの名前で出すならちゃんとしたものを出すのが筋。断ってこい」
ウェイター 「いや、今さら断れないし・・・。」
料理長 「じゃあ別の料理人に言え。俺はいやだ」
ウェイター 「ええ~しょうがないな。じゃあ、朴さんどうだい?速作りの朴さんならできるだろう?」
朴「あい?ええですが、何をつくるんで?」
ウェイター 「北京ダックだよ。いいか、北京ダック、ネギ、きゅうり、オオバ、松の実、うちの特製味噌、皮、あとは蒸しパン。」
朴「合点。ですがその特製味噌ってのと松の実の使い方、あたしゃあ好みじゃないのでよく分かりません。普通の味噌を使います。じゃあ、早速準備にかかりますわ」
ウェイター 「よし、一応それでよいかきいてくる」
5秒でホールに戻る。
ウェイター 「お客様、ちょっとお時間があまりにもなくて料理長が無理だと言うので、ウチの早作りの朴が承ります。北京ダック、ネギ、きゅうり、オオバ、普通の味噌、皮、あとは蒸しパン。これでなんとかあと3分で作りますんで。ちなみに蒸しパン、お持込とのことですので、早くいただきけないでしょうか。」
客 「む、金料理長がいやだって?いや、ちょっとそれについては考えたい。ちょっと待て」
(ごにょごにょ)
客 「やっぱり時間はいいや。3分で出さなくてもよいので料理長になんとか頼んでくれ」
ウェイター 「え、そうですか、時間は良いのですね。では料理長に伝えます」
客 「あと、コースは結構。北京ダックだけでいいぞ。あと、二人前って言ったけど、陳さんは陳さんで違うの頼みたいかもしれないから、会計別々な。北京ダックについても向こうは向こうでちゃんと訊いてくれよな。」
陳さん 「・・・(蒸しパンと皮を出す)」
ウェイター 「そうですか、だいぶ状況が変わりましたね。もろもろ相談します」
料理長 「時間が関係ないならやるよ。北京ダック、ネギ、きゅうり・オオバ・ゴマな。よしよし。で、その蒸しパンと皮は?」
ウェイター 「これですって」
料理長 「うーんなんだか乾いた皮だな。ま、指定だからしょうがないか。水分の多い何かが必要かもな」
おーい、とホールからウェイターを呼ぶ声。
客 「おい、ウェイター、やっぱりちょっと待て。」
ウェイター 「なんでしょう」
客 「さっきの皮、ちょっと乾いてるかもな?どう思う?どんな皮がいいかな?」
ウェイター 「いや、お持込なんで、お好みのもので結構ですが、ある程度水分があるものでしたらまあ何でも大丈夫でしょう」
客 「よし、じゃあ後で渡すな。皮だけならあとで差し替えキくもんな」
ウェイター 「はい、では早速作りに入ります」
客 「あ、ちょっと待て。そういえばきゅうり・オオバ・ゴマのところなんだけど、なんか寂しいと思わないか?」
ウェイター 「え?さようでございますか?」
客 「なんか不安なんだ」
ウェイター 「不安って・・・」
客 「きゅうり・オオバの間にカラスミとかイクラとか混ぜたら?ゴマは香ばしく炒ってな」
ウェイター 「そうですか・・・では料理長を呼んで参りますね」
(料理長、客の前に到着)
料理長 「野菜と魚卵系を混ぜて風味を豊かにしたい、ということですな?」
客 「そうだ。あと、きゅうり、ゴマ、オオバってのはなんか理由があるのか?」
料理長 「理由、と申されますと?」
客 「いや、きゅうり、ゴマ、オオバじゃなくて、ゴマ、きゅうり、しそにしないか?本当にオオバがいいのかな」
(どうでもよい話2分)
料理長 「わかりました。では、ゴマ、きゅうり、しそにご指定のカラスミとイクラを使いますね」
客 「あ、ちなみに、だ。」
ウェイター 「なんでしょう?」
客 「あと3分で作れ。死んでも3分だ。3分後にゲストの白龍さんが来るんだ」
料理長 ・ウェイター 「(げっ)」
(料理長は厨房にもどる)
ウェイター 「作るものが決まって良かったです。ちなみに・・・お値段のほうですがちょっと4000円だとむずかしいですね。陳さんとも全然オーダー違いますんで、恐れ入りますが6000円ほど頂戴したいのですが」
客 「6000円?高いなオイ。お前、4000円で作るって言ったからには4000円てのが筋じゃねえのか?」
ウェイター 「いえ・・・二人前、でもなくなりましたし、材料もだいぶ変わってしまっております。お急ぎで作らせていただくし、サービス価格で4000円と申し上げておりましたが、ぜんぶ変わっちゃいましたので・・・」
客 「ふーん、納得がいかないな。ウチの近所の『北竜』なら3800円くらいだぞ。ま、陳さんとも違うし、しょうがないから5000円で手を打ってやる。いいな、5000円だぞ」
ウェイター 「はあ・・・しょうがないですね、承りました」
2分30秒後。
料理長 「ほら、できたぞ!もってけ!」
ウェイター 「(ゼエハア)お待たせいたしました、スペシャル北京ダックでございます。これで白龍さんのご到着に間に合いましたな!」
客 「ふむ。」
・・・
客 「おいウェイター」
ウェイター 「なんでしょう」
客 「なんとなくパサパサしてる気がする。どうしようか?」
ウェイター 「ええ~っ。どうしようか、と申されましても・・・・」
客 「これじゃあ白龍さんがお喜びにならないな・・・どうしよう」
ウェイター 「・・・」
客 「スペシャルなやつ、言うたやろが。ったく、ネギとか、もうちょっと創意工夫ができへんのか?」
ウェイター 「・・・」
客 「よし、こうしよう。このカラスミとイクラ、しょうゆ漬けのものではなくて生のものに差し替えたらどうだ?もっと水々しくなるだろう?あと、皮が乾いているからなんとかしてな。」
ウェイター 「ちょっと料理長と相談してきます」
客 「あと」
ウェイター 「まだ何か?」
客 「わるいな。蒸しパン、別の使ってくれ。ホイ、これだ。これをホカホカにしてな」
(厨房)
料理長 「なんだとこの、言われたとおりに作ったんじゃねえか!何が不満なんだ」
ウェイター 「なんだか不満だそうだ・・」
料理長 「しゃあねえなあ。だがカラスミとイクラを生から・・・となると、5000円じゃ大赤字だ。本来なら8,000円、サービス価格で7,000円だ!ちなみに皮は酒をふってうまく処理するから安心しろ。蒸しパン差し替えろだと?最低限のサービス料は請求しろよな。」
ウェイター 「はあ・・・」
料理長 「ちなみに、さっきから3分で作れとか2分で作れとかどうしても俺に作れとか言ってるんで、他の料理ができねえんだよ!もう赤字でもなんでもいいから早くなんとかケリつけてこいよ!」
ウェイター 「わかった。がんばるよ」
料理長 「あと、時には客を追い出す勇気も必要な」
ウェイター 「うん、もう遅いけどね・・・」
ウェイター 「お客様、たいへん恐縮ですが、皮の調整はすぐにやっておりますが、お持込の蒸しパンについてはサービス料いただきます。また、カラスミといくらですが、ちょっと作り直しになってしまうので、プラス2000円になります」
(ごにょごにょ)
客 「高いな。カラスミとイクラはいいや。勘弁してやる。」
ウェイター 「はい」
客 「あと」
ウェイター 「(まだなんかあるんかいな)なんでしょう?」
客 「オタクのこの北京ダックのレシピ、ウチの地元の料理屋で共有するから、調理法詳しく書いてよこせよ」
ウェイター 「(げえっ)さようですか。レシピの公開はちょっと困るんですが・・・」
客 「ばかやろう、なんのために作らせてると思ってんだ。ウチの近所の親戚たちはそれぞれの地域で蒸しパンの好みが違うんだよ。」
ウェイター 「・・・分かりました。レシピの公開は通例いたしませんので、できれば蒸しパンをお持込いただいてこちらでおつくりするということではダメでしょうか」
客 「ダメだな。遠いし、面倒だ。近所の料理人に作らせる」
ウェイター 「そうですか、では蒸しパンを差し替えるため、レシピを公開いたします。恐れ入りますが、レシピの公開にあたっては著作権の観点からレシピの買取料が発生いたします。また、不要な改変をお断りしております」
客 「ふーん」
ウェイター 「こちらの契約書にサインしてください」
客 「・・・(契約書を読んでいる)」
ウェイター 「・・・」
客 「おいこら、『この蒸しパンなどの差し替え以外は変更するな』ってなんやこら。地元の連中はそれぞれ宗教も好みも違うんや。『蒸しパンなど』の『など』には何が具体的に含まれるんや?」
ウェイター 「いや、何が・・といわれましても、一応、こちらの料理店の名前でレシピを公開させていただくので、改変していただくのはあまり好ましくないんですが・・・」
客 「何を言うてんねん!!」
ウェイター 「ひっ」
客 「こちとら、親戚連中にウマい北京ダックを食べさせたいんや!オオバがダメなヤツもおるし、ゴマが食えへんヤツもいる。味噌がダメなやつもおる。焼きたいやつもおるかもしれん。スープに入れたいやつもおるかもしれん。どないや?そこんとこどないや?」
ウェイター 「・・・『好みに応じて変えてよい』と一言念書に入れるよう、店主と相談します・・・」
客 「で、早う作れな。あと1分で作れな」
ハシが上手に使えないのは個性ではない。 [ストックヤード]
今日は良い酒ではなかった。
同世代、もしくは同世代より下の世代と話していると、いつも感じることがある。
それは「個性」に依存していること。
人は個性的であるから(変わらなくて、がんばらなくて)よい、ということ。
無論、個性は人を形作っている、いや、社会を形作る大切な「不確定要素」。
だけどね、「個性」と口にする人ほど、「個性」に甘えてばかりだ。「個性」は甘えるためのよりどころではない。
自分は自分の個性を大事にしているから努力しない?
これは個性だから直さない?
人それぞれだから間違ったっていじゃない?
そんなに個性って大事か?
俺はキミの個性なんか全然大事だと思わないよ。 neither mine。
なぜなら個性は変わるからさ。そして多くの場合、変わることで広がる。
今、キミが持っている個性なんて、ただの劣等感。もしくは、狭小な見識を基盤とする陳腐な価値観。もしくは圧倒的経験不足による貧しい方法論。もしくは逃避。もしくは性的欲求不満。もしくは単なる心因的欠陥、または神経症。
ごくごくまれに、個性。
anyway、僕がキミを個性的と認める要素は無い。つまり、キミの個性なんてたいしたものではない。
そんなものを大切にしようとするな。
俺達の世代は<個性偏重主義>という宗教に毒されている。
そのせいで、ストレスに弱く、やらねばならないことが耐えられず、享楽的で怠け者で、熟達者が少なく、自己防衛的で反省がなく、そのわりに他人を許容できない。
ハシが上手に使えないのは個性ではない。
会社に行きたくないのは個性ではない。
論理的に人に伝えないのは個性ではない。
自分が楽しようとするのは個性ではない。
タバコがやめられないのは個性ではない。
性的嗜好が少女趣味なのは個性ではない(病気)。
「なんか、必要以上に頑張るのがいやなんですよ」は個性ではない。
人は完璧ではありえない。
逆説的に、人はすべて何かにおいて本来あるべき姿より劣っている。
そのあるべき姿はぼんやり立っているだけでは見つからない。
だからぼんやりしているキミは変わりようがない。
そしてそれを個性だと信じている。
そしてどんどん役に立たなくなっていく。
本来、社会の中での相対的な意味である「個性」が、単なるネガティブなものになっていく。
すると、キミは君自身の価値を防衛するために、ますます「個性」にしがみつく。
-------
この話は「評論」に匹敵する俺のテーマの一つなんだけど、ちょっと2ヶ月くらいかけて、マジメに書いて行こうと思う。
いつか、キミが本当の個性を獲得することを祈って。
※ああ、これはヤンとかdiagonalとか、rintaroとか煮号さんほかP-STARS、タピやケンポさんや、HANSENとかminaとかSHINGOとか、watさんとかかすやさんとか、そのほか個性に甘えることの無い多くの人とは、
まったく!関係のない話だ。個性的なあんたたちよ、永遠に(笑)